財政赤字と債務残高
はじめに
財政赤字とは?
国の歳出が歳入を上回っていること。国には税収というかたちでお金が入ってきますが、それ以上の金額を使ってしまうことです。この不足分は国債を発行して補います。つまり、借金です。この借金の総額が債務残高と呼ばれるものです。
下記の図①は米国政府債務残高です。コロナウイルスの影響により2020年10月時点でおよそ27兆ドル(約2700兆円)に達しています。図②はGDPに対する米国政府債務です。(パーセンテージ)
図①
図②
政府債務が大幅に増加したのはオバマ政権からで、70%以下であった債務残高対GDP比は一気に90%を超え、2016年の2期目終了時には105%まで拡大していきました。さらに2016年トランプ大統領誕生後、財政拡張により債務残高対GDP比は拡大を続けています。つまり、返済額が増え続けている=税収が利息支払いのためだけに使われる可能性が高いということです。
何が問題?
①債務が膨らむと国民の負担が増す。(増税など)
②インフレを引き起こす可能性がある。(借金返済のため通貨の発行量を増やすと通貨の価値が下がり物価の値段が上がる)
③財政赤字のデータを正確に解釈するのが非常に難しい。なぜなら税収は景気に左右されやすいからです。ポイントはGDPに対する比率を見ること。下記の図はアメリカの財政収支(歳入ー歳出)です。このマイナス分が財政赤字額となります。
続いては、アメリカの財政収支対GDP比です。一般に3%未満なら健全と言われています。
先程もお伝えましたが、一般的に対GDP比で3%までの赤字なら問題はないとされてます。なぜならGDPも年間で3%程度の成長を見せるからです。(米国)
投資戦略
財政赤字とインフレに気をつける!
財政赤字が続いている場合、世の中のお金の量が増え続けます。お金の供給が増えると物価の値段が上昇し、最悪、ハイパーインフレーションを引き起こす可能性があります。そこで投資の判断ポイントとして、
①財政赤字が持続的にGDP比3%を超えているような場合、金など安全資産と呼ばれる資産への投資を検討する。
②逆に財政赤字がGDP比3%未満を継続している国は資金が集まりやすいので、投資の検討をオススメいたします。
まとめ
注目ポイント:債務残高がGDP比で増加(減少)しているか。通常、赤字が3%を越えると良くない状態とされる。
意味すること:インフレの可能性が増大(減少)
投資アクション:通常の国債を買う(売る)。金や新興国市場の投資信託を買う(売る)
発表時期:財政赤字の状況は毎月第8営業日。債務残高はUS Debt Clock.orgで推定値を観測できる。
データ入手先
①セントルイス連銀のFREDが無料で提供https://fred.stlouisfed.org/series/IEABC
②トレーディングエコノミクス米国 - 政府債務残高
③世界経済のネタ帳アメリカの政府債務残高の推移 - 世界経済のネタ帳