経常赤字

今回のテーマ「経常赤字」

 

経常赤字とは貿易による赤字のことだと思っておけば大丈夫です。貿易赤字と言い換えても米国を含むたいていの国の場合は、ほぼ同じ意味です。

 

米国の問題の一つとして、長年貿易赤字(「輸出額<輸入額」の状態)が続いていることです。この輸入のためのお金を外国から借金したり、資産売却で資金を確保しています。

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出典:米商務省

※図は四半期の米経常収支です。灰色のGoodsが貿易収支です。長年、マイナス成長ということが分かります。

 

特に問題なのが、外国からの多額の借金を続ければ続けるほど、

「米国は本当に利息を払えるのか?」

「借金を本気で返してくれるのか?」と諸外国が心配し始めます。

 

自分からお金を借りている人が、他の人からもお金を借り続けていれば「自分のお金は戻ってくるのか?」と不安になりますよね?お金を借りる行動がずっと続けば、お金を借りている人は周りから信用を失っていくと思いませんか?アメリカも似たような状況が続いています。

最悪の事態は、米ドルの下落に繋がり、世界の経済に悪影響をおよぼすことです

 

【投資戦略】赤字が5%以上なら通貨を売る?

 

経常赤字を読みとるときのポイントは、GDPに対する赤字額の大きさを把握すること。そして、ある時点の赤字額だけでなく、数カ月間の赤字額を見ることが大事。もし、貿易赤字GDP比で5%を超えている場合、通貨を手放す。(下がる方に賭ける)

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引用:トレーディングエコノミクス

※米経常収支は、長年GDP比で2%以上マイナス成長を続けている。

小さい国ほど危険?

小国ほど貿易赤字GDPの5%を超えると通貨危機の可能性があります。ハンガリーギリシャなど、通貨が暴落した直前、経常赤字はGDP比で約−10%になっていました。ギリシャの場合、2006年10%のマイナス成長。その後、2009年にギリシャ危機に陥りユーロは暴落しました。

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引用:世界経済のネタ帳

 

また、ハンガリーも2007年から2008年に10%のマイナス成長。その後、通貨は約50%暴落した。

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投資対象 オススメ2パターン

①今までお話ししてきた貿易赤字GDP比で5%を超えている場合、その国の通貨を売る(米国は例外)

 

②継続的に貿易黒字を出している国は投資家から人気を集めるので、経済成長が期待できる。特に新興国のなかで貿易黒字の大きい国は将来有望であり、投資対象として魅力的。

 

米国は特殊な立場

米ドルが基軸通貨である以上、通貨危機に見舞われることなく貿易赤字を続けていけると言われているので投資対象の例外としました。

 

まとめ

 

注目ポイント:貿易赤字GDP比で5%を超えている(米国は例外)

 

意味すること:通貨危機の可能性がある

 

投資アクション:その国の通貨を売る

 

リスク評価:極めて高い

 

発表時期:四半期ごと 3月 6月 9月 12月 各月の中旬午前8時30分に発表

 

データの入手先(無料)

セントルイス連銀のFREDが無料で提供https://fred.stlouisfed.org/series/IEABC  

トレーディングエコノミクスhttps://tradingeconomics.com/united-states/goods-trade-balance(貿易収支)

参考文献:ウォールストリート・ジャーナル式 経済指標 読み方のルール