対米証券投資

今回のテーマ「対米証券投資(ネット長期TICフロー)」

結論から言うと、売り越しならドル不安、ニューヨーク株式市場下落、米国債券市場下落を示唆し、買い越しならトリプル高(ドル高・NY株高・米債高)、米国財政・金融・通貨政策への信頼感アップに繋がります。

対米証券投資(ネット長期TICフロー)とは、米国が購入する海外の長期証券額と海外からの米長期証券購入額の1カ月の差額を測定する指標である。つまり、米国への資金の流出入を確認する重要指標です。(例えば、国境をまたぐ株式や債権の売買、国外の銀行に対する貸し出しや借り入れ、返済についてなど)

 

f:id:tabarblog:20201124185447p:plain

引用:Investing.com

図は2018年から2020年9月までの対米証券投資です。

外国人が長期証券を購入する際は、その国の通貨で購入するため、米ドルの需要を反映しています。同指標がプラスなら米ドルの需要が高いとみることができます。

 

投資家の注目点は?

f:id:tabarblog:20201124190942p:plain

投資家たちの注目点は、国外の投資家に対する米国債の売れ行きです。もしも米国債に対する需要が停滞し続けた場合、国債が値下がりして金利が上昇します。ということは、住宅ローンや自動車ローンの金利も上昇し、米国の景気後退から債権や株式が大量に売られる可能性があるからです。

ポイント

この指標のポイントは国際社会が米国の債権を見放そうとしていないか、ドル建ての資産から手を引こうとしていないか確認することです。

 

投資戦略

①現在のデータを過去と比較して見ること。ドル建て債券の需要が順調に伸びているか、停滞しているか長期的視点で判断する。もしも停滞していたら金利は上昇し、米国経済は減速していると考えられるので債権を売る。

経常収支との比較すること。経常収支赤字による資金流出よりも対米証券投資が大きい場合、米国への資金フローはネットで流入超と判断される。この資金の行き場の一つとして、国債が買われる→そして国債の価格が上がり金利が低下→住宅ローンや自動車ローンの金利も下がり米国民の生活が良くなる→さらに他の経済指標(例えばGDPや小売売上高など)も良い数字が期待できる→証券市場の上昇に繋がるので債権を買う。

 

まとめ

発表時期:毎月中旬、前々月のデータを発表

注目ポイント:米国の債権に対する国外からの需要増加(減少)

意味すること:金利が低下(上昇)する

投資アクション:他の指標も確認したうえで、金利が下がりそうなら国債を買う。上がりそうなら債権を売る。(他の指標:経常収支)

データ入手先:米財務省treas.gov/tic/

 

参考サイト

 

https://www.treasury.gov/resource-center/data-chart-center/tic/Pages/ticpress.aspx 

→TIC Press Releases(米財務省)

https://jp.investing.com/economic-calendar/tic-net-long-term-transactions-283 

米国 ネット長期TICフローの数字が確認できるのでオススメ!